2016年11月29日火曜日

「木彫りの女性からおじさんの生活をみる」とは?

ムラのミライでインターンをしております、三谷と申します。
先週(2016年11月22日)の和田さんの記事を拝見しまして、改めて相手の立場に立って物事をみる難しさを実感する、とあるインターン出勤日の午後。

なるほど!コーヒー一杯でこんなにも質問できるのか!
よし、私も練習しよう!と事務所のパソコンから顔を上げ、目の前にあるもので試してみる。
"SOMNEED"と書かれた女性像が立っている。
よし、彼女をターゲットにしよう。
しかし、頑張って搾り出しても10個程しか出ず断念。
なんていう入門セミナーや基礎講座Ⅰの受講者の方、多いのではないでしょうか。
そんな方にとっておきの練習方法がございますので紹介させていただきます。





以下、「途上国の人々との話し方」から一部抜粋しました。



◆身の回りの「もの」を取り上げ事実質問を30考える

例えば以下のようなものがあるが、家中、あるいは事務所中を探せば、さらにいろいろなものが見つかるはずだ。

例:机の上や引き出しの中から貰った文房具、お気に入りの装身具や衣類、子どもの頃に書いた絵や作文

これを目の前い置いて、どんな事実質問が可能か、とにかく羅列してみる。
最初の質問は常に「これは何ですか」。
次は「いつから持っているのですか」
  「どこで手に入れたのですか」
  「いくらでしたか」
  「材料は何ですか」
  「使ったことはありますか」などなど、モノの性格によって質問も多少は違ってくるが、
とにかく30を目指して質問を作ってみる。

次は、質問に続いて、答えも考えてみる。
ひとつの質問が出てきたらさらにそれに関する事実質問をしてみる。
数珠繋ぎに質問するうちに、最初のものからどんどん方向が逸れて行っても一向に構わない。
大切なのはとにかく事実質問をしてみるを繋げていくことであるから。
そのうち、これまで忘れかけていた思い出や、意識していなかった好みなどが浮かび上がったら大成功である。


ちなみに私の場合だと、
パソコン机の隅に、直径10センチくらいある大きな竹筒でできたペン立てが置いてある。
これはラオスで村人からプレゼントされたもので、本来は弁当箱(もち米入れ)だったものをペン立ての代用をしている。
実は普段このことをすっかり忘れてペン立てだと思い込んでいたのに、実例を探そうとしているうちに、そのことを思い出したのである。

実際に練習する際には、
「これは何ですか?」
「ペン立てです。でも本来は弁当箱です。」
「いつ手に入れたのですか?」
「2003年の終わりごろだと思います。」
さらには、「どこで」「誰に」と自問自答していくわけである。
ひとつやってみて、うまくいかないようだったら、他のもので試してみよう。
とにかくどんどんやってみるのがいい。
いくつかやってみて、どんなものが質問しやすかったか、しにくいものはどんなものだったか、などを振り返るのもいい。

ここで重要なのは、ひとつの「もの」や「こと」には、多様な側面があることに気づくことである。
相手が持っている鉈(なた)ひとつ取っても、材質(これも取っ手の材質と刃の金属の部分に大きく分かれ、入手方法もメンテナンスの仕方もそれぞれ全く違うことが考えられる)、用途、大きさ、デザイン、値段、使用暦、耐久性などなど実に多様な側面を持っているのであるからそれぞれの要素について執拗に事実質問していくならそれだけで何時間でも質問を繋げていくことができる。
あくまでも原理的にはということであって、実際には行き詰ることなく、かつ互いに飽きることなく対話を続けていくには、そのための技術と経験が必要であることは言うまでもない。

裏を返せば、事実質問を行うことは、物事の持つ多様な側面についての知識と各要素間の相関関係への理解を深めるための絶好の訓練になる。
その積み重ねが、ものごとへの理解を飛躍的に高めてくれること、設けあいである。
その入り口としてこの練習をぜひやってみてほしい。


(書籍『途上国の人々との話し方』p274-p276より)

私とモノとの関係性を考えながら
もう一度考え直してみる。
誰に聞くことにしようかな。
女性像を売ってるおじさんに聞くとしよう。
「おじさんが作ったの?」
「何の木で何の道具で作ったの?」
「誰かモデルがいるの?あなたのお母さんとか、奥さんとか。」
「この女性に名前はついているの?初恋の人とか…」
いつもの私の「いつ」「どこ」「誰」だけのありきたりな質問から具体的な質問が出てくるぞ!
この練習を続けていけばいつもと違う景色が見えてくるかもしれない!
毎日30個を目標にして色んな側面を見ることができる目を養いたいと思います。
尚、今回ご紹介したファシリテーションの練習方法は、
書籍『途上国の人々との話し方』で詳しく紹介しています。



(ムラのミライ 関西事務所インターン 三谷遥来



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2016年11月22日火曜日

「一杯のコーヒーから相手の暮らしをみる」とは?

 今度、京都で基礎講座Iを終えて
さらに技術の向上を目指す方たちのために、基礎講座IIをやります。
「さらに技術の向上を目指す」のですから、参加される方たちは、
当然ながら基礎講座Iで習ったことを日々(ま、毎日じゃなくてもいいですけど)
実践していることが前提です。
 

前振りはこのくらいにして、何をするのか、お話しします。
 
この基礎講座IIのキーワードは、「階層化」です。
 「階層化」についてお話しする前に、
エントリーポイントとリカバリーポイントを覚えていますか?
忘れちゃった方は、「途上国の人々との話し方—国際協力メタファシリテーションの手法」のパートIIIの第一章、「メタファシリテーションの技法解説」を復習してください。

例えば、コーヒーをエントリーポイントにして
インタビューを始めるという例を挙げましたね。
話の糸口を探っていく基本は、「もし自分が相手だったら・・・」ということでしたね。

コーヒーを買ったのかな?
自分で作ったのかな?
買ったとしたらどこで買ったのかな?
自分で作ったとしたら、どこで作ったのかな?
コーヒーを淹れるとしたら、まずお湯を沸かす。
その水はどこから汲んだのかな?
沸かすときの燃料はなに?などなど。

コーヒーのことをずっと聞いていく。
そうすると、相手の暮らしの様子が少し見えてくる。
でも、あ、これ以上質問が出てこなくなった、というときのためのリカバリーポイント。
あ、そうそう、水は井戸から汲むと言っていたな。
じゃ、井戸について聞いてみるか。
これで、またしばらく質問が続き、
さらに相手の暮らしの様子が分かってきますね。
でも、また袋小路に・・・あ、じゃあ燃料は薪だと言っていたから薪について聞いてみよう。
はい、またリカバリーポイントのお世話になりました。
 
これは、コーヒーを淹れるという行為にまつわる諸々を、一つずつほぐしていく、相手の答の中に次の一手を探っていくというやり方です。
まず、このやり方に慣れてください。
段々習熟していくうちに、対話の流れが見えてくるようになります。
もちろん、対話の「ネタ」を見つけるための観察も重要です。
いざ話を始める前までの観察、そして対話の最中の観察も。
 

ところで、リカバリーポイントは、別の言葉で言うと
コーヒーという「ネタ」の下の階層にある「サブ・ネタ」です。
あなたの前に、カップに入ったコーヒーがあります。

とりあえずここから考えられるサブのネタは、
コーヒーの豆、淹れるための水、水を沸かすための燃料、など。
他にもありますが、それを考えるのは読者の皆さんにお任せします。

さて、このサブ・ネタの下にも、さらにサブ・サブ・ネタがあります。
基礎講座Iでは、これを対話を通して探っていく、
つまり対話の時間の経過に従って、リカバリーポイントが増えていく、
という風に教えています。
というより、事実質問というものを体感し、それを続けていく、
そのために対話をしながら次の質問を見つけていくということをしました。
 

基礎講座IIでは、
あらかじめある程度対話の道筋(道は一つではありません)を思い描きながら、
つまり幾つかの道筋を考えながら(ざっとした地図を画くようなものです)対話を進める、
ということを学びます。
それが、ネタの階層化をざっと最初にしてしまうという技です。

この続きは、基礎講座IIに出て学んでください。




和田 信明   ムラのミライ 代表理事)





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このブログ記事の筆者=原康子も各地で講師として登場します!

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2016年11月15日火曜日

「基地がなくなると地元が困る」これって事実?


9月末に、ムラのミライが主催で、
沖縄の米軍基地問題をテーマにした映画「標的の村」の上映会を行いました。
私も、関西学院大学に行っている息子に、
そのチケットを友人にも売ってくれるように頼んでいました。
すると、ある夜、次のようなことを言ってきたのです。


「チケットを薦めているうちに友だちといろいろ議論になった。
同じように米軍基地がある山口県の町から来ている友人が、

『確かに地元の負担は大きいけど、その一方で、基地がなくなったら、
雇用の問題などで地元の企業や住民が困るのではないか』

と言うんや。そう考えるとこれは結構微妙な問題やないんかな、
と思えてきたんやけど…」



こんな俗説にすぐに惑わされる息子が情けなくてあきれ返ったものの、
ここはしっかり理解させなければと思い直し、
以下のように問いかけ始めました。


私「基地がなくなると地元の人が困る、と言うわけやな。
  じゃあ、それは、お父さんがいなくなったら、お前たちが困るということと同じか」

息子「うん、学費が払えなくなるからな」

私「確かに、お父さんは、今夜寝ているうちに、心臓発作か脳卒中であの世に行くかもしれん。
  あるいは、インドネシアのスラウェシ島あたりに出張中に、
  のどかな海辺の村にそのまま居つきたくなって、
  失踪してしまうこともありえる。そういうことやな」

息子「ないとは言えんな、お父さんやったら(笑)」

私「じゃあ、聞くけど、沖縄の米軍基地も、お父さんがいなくなるように、ある日急になくなるものか?」

息子「いや、それはないな。
   あんな巨大な施設が他に移転するためには、けっこうな時間がかかるやろな」

私「実際にどのくらいかかるかはお父さんにもわからんが、
  最終的に決まるまでに相当の時間がかかるやろし、
  決まってから実行に移すまでも3カ月や半年の仕事やないやろな。
  実際に移転の作業となると、さらに数か月か、あるいは数年の単位が必要かもしれん」

息子「確かに」

私「で、その間に、地元の人や企業や自治体、そして政府は何もせんといるか?」

息子「いや、雇用創出など、代わりの対策をなんぼでも打てると思う」

私「そういうこと。要は、基地に依存しない地域を本気で作る気が、行政や地元にあるかどうかにかかってる、いうことやろ」

息子「確かにそうやな。とすると、基地がなくなったら地元が困る、というのは根拠のない一般論に過ぎなかったわけや」

私「お父さんたちの言い方やと、『それはパーセプション、つまり思い込みに過ぎない』ということやな」



子どもたちが中学生や高校生だった頃には、
練習を兼ねてことあるごとにやっていた対話型ファシリテーションの実践を久々にやってみた、その報告でした。

なお、実際のやり取りはここまで体系的ではなく、また記憶があいまいなところもあったので、
息子の協力を得て二人で再構成したものが上記のやり取りです。
この後、同様な構造を持つ原発の立地の問題や、
同じように見えても構造の違う炭鉱と夕張市の関係などについても少し話し合ったのですが、
長くなるので今回はこのへんに留めておきます。





中田豊一 ムラのミライ 代表理事)


http://muranomirai.org/trg2016cfindia
「課題を浮かび上がらせる対話」を実地に学ぶ研修

2016年11月8日火曜日

「サッカーボールが無い」って本当の問題? ~協力隊・NGO/NPOスタッフに必要な質問力

ムラのミライ関西インターン生の三谷です。
近日11月19日(土)に、京都でスタディツアー合同説明会があるということで、
今回は私が実際に体験した海外ボランティアでの出来事をお話したいと思います。


大学一回生の長い春休み、
アフリカの大地に想いを馳せていた私は
海外ボランティアとして1ヶ月、ケニアの地に降り立ちました。
小学校の衛生改善活動として施設の修復やトイレ建設のお手伝いし
活動も終盤にさしかかった頃、
なにか最後に生徒達に何かプレゼントしようと思い
仲の良かったカルビンという女の子に聞き込みをしました。


状況:私も含め生徒100名ほどと放課後サッカーをした帰り道。
    私は150人の全生徒がみんなで共有できる遊び道具を贈りたいと考える。
    全員に聞くことは難しいので、仲の良かったカルビンという少女に聞き込む場面。

私       :「いつもは放課後なにして遊んでるの?」
カルビン:「サッカー!」
私       :「そっか!昼休みは?」
カルビン:「サッカー!」
私       :「そっかそっか!みんなサッカー大好きやねんな!」
カルビン:「でもね、サッカーボール持ってないの!」
私       :「え?じゃあ何でサッカーしてるの?」
カルビン:「これ!」
と、見せてくれたボールは服を丸めて作ったボールでした。

私はサッカーボールをあげたら喜ぶだろうと思い、
セレモニーの際、サッカーボールをみんなに贈りました。
みんなは飛び跳ねて喜びサッカーを楽しんでいました。
ところがしばらくして、サッカーをしていた100人程の子ども達が30~40人程になってしまいました。

私は先生にどうしたんでしょうかと聞くと
先生は「サッカーボールは服で作ったボールと比べて硬いから、裸足の子は蹴れないよ」と。
靴を履いてる子だけがサッカーができる。
校庭で小さな差別が生まれました。
サッカーボールをあげるとみんなが喜ぶと思い込み、
靴を持っていない子ども達が大半を占めていた事実が見えていませんでした。



ではあの時、私はカルビンにどんな事実質問すれば良かったのでしょうか。
例えば…
・「サッカーボール買おうかと話し合ったり、誰かに相談したりしたことある?」
   
   もし、本当にサッカーボールが欲しかったり必要であれば、
   既に友達や先生の間で話し合いや対策など、なにかしら行動をしているはず。
   でも何もしていないなら、”サッカーボールがない”ということは
   本当の問題ではないのかもしれない。


・「最近、サッカー以外の遊びって何かした?」
・「何か皆でもっと楽しく遊べる方法ないかなーってやってみたことある?」 
   
   サッカーボールなどの遊び道具がないと
   みんなで楽しく遊べないという思い込みをしていた私。
   サッカー以外で皆がする遊びを聞き出せれば
   道具を使わず喜んでもらう方法、例えば、日本の”だるまさんが転んだ”など
   遊び方を贈るという方法もあったかもしれません。


こんな事実質問をしていれば私はサッカーボールの有無が本当の問題ではないと気づき、
何か違う方法で皆を笑顔にする方法を考えたでしょう。

何はともあれ、この出来事がきっかけでメタファシリテーションと出会えたので
ボランティアに参加して良かったなと、思っています。
世の中には沢山の海外ボランティアやスタディツアーがありますが
自分の成長と発見ができるプログラムと出会えるといいですね!
京都でのスタディツアー合同説明会当日は
ムラのミライのブースもありますよ~!




(ムラのミライ インターン 三谷遥来




~いい旅はこの説明会から始まる~2016年11月19日 (土)京都にて開催決定!
 第15回 NGOスタディツアー合同説明会」 (京都で開催) 


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2016年11月1日火曜日

身近にあるある「ひとくくりワード」の巻


前回のブログ記事が前編と後編の長文だったせいか
「今回は短く書いてください」とブログ担当者から指示を受け、短く書いています。
といっている端から脱線して長くなりますが、
この指示、字数制限もナシ、締切日もナシのユル〜イ指示で、
カッチリしたことが苦手な私には大変ありがたいものでした。
締切がないと安心して、素早く書いてしまうことが多々あるのですが、
そこを見透かされた指示だったかもしれません。
 


ところで、メタファシリテーション1日基礎講座や入門セミナーに参加された皆さんにはお馴染みの3つの質問です。

「朝ご飯は何が好きですか?」
「いつも朝ご飯は何を食べますか?」
「今朝は何を食べましたか?」
 
このうち「事実」を聞いているのは1番目の質問でしたね。


ここでツッコミを入れられない人は、もう一度11月の講座に申し込みましょう。
申込みはこちらです。
 
話を戻して「事実」を聞いているのは、「今朝は何を食べましたか?」だけでしたね。
 
今回は3番目の「事実」を聞いている質問ではなくて、
事実を聞いていない2番目の質問に表れる「いつも」という言葉に
スポットライトを当ててみたいと思います。
 
この「いつも」という言葉。
私の講座に出られた方は「ひとくくりワード」と覚えておられるかもしれません。
1日の基礎講座をする度に、それが日本でも海外でも、
私は参加者の皆さんに
「ここで出て来た’いつも’に似た’ひとくくりにしてしまう言葉’を挙げてみてください」
と聞いてみることにしています。
 

答えは、
ときどき、普段は、いつでも、どこでも、誰でも、
日本人は、ネパール人は、関西人は、京都の人は、みんなは、岐阜では、
おばちゃんは、女の人は、A型の人は、年寄りは、この社会では、田舎では〜など、
まだまだいっぱい挙げられます。

こうしてたくさん挙げてもらった後の演習でも、
やっぱりひとくくりワードをいっぱい使って対話をしてしまい
「事実質問だけで対話をつなげてゆくのはムツカシイ〜」
と実感されている方は多いことでしょう。
このまま書き続けていくと「短く書いてね」という指示を無視して、
また前編後編を書いてしまいそうなので、
今回はこの辺でやめておきます。
 

次にじっとこの「ひとくくりワード」を見てください。
どれも、さらに細かく分解していくことが出来る言葉だと分かりますね。
「’ネパール人は ’ってあなたの身近な人では誰のこと?」
「’みんなは ’って具体的には誰のこと?」
「’いつでも ’って、一番最近はいつ?」などなど。
 
こうした「ひとくくりワード」は、
「個々の事実から目をそらしてしまう光線」と
「もっともらしさ光線」を高レベルで発しています。

これらの光線は「それって事実でしょう」と思わされてしまうような成分が多分に含まれています。
「ここは!」という時には、
UVカットメガネではなくて、
事実質問メガネをかけて、
まず自分の対話、他人の対話を観察してみてください。
「ひとくくりワード」が対話の中で次から次へと出てきたら、
それを「事実だ」と勘違いしないように気を付けてください。

(おわり)
 
さて「ひとくくりワード」の話は短く終わったので一安心です。
次は、メガネの話をしましょう。
読者の中には
「なぜ、UVカットメガネや事実質問メガネのたとえを使ったの?」
と聞きたくなった方がいるかもしれません(いないかもしれません)。
なぜと聞かれれば
「最近メガネを新調したからです。今まで緑のメガネだったので、
今度は赤いメガネを買いまして、メガネのたとえ話がすぐに浮かびました」
と私は答えるでしょう。
もしあなたがここで「なぜ?」を使わずに、
私がメガネを新調した理由(メガネのたとえ話をつかった理由ではなく)を、
事実質問だけで聞いてみたとしましょう。
全く別の答えが浮かび上がってきます。
私は、超がつくほど近眼で、イノシシ歳ですから、仮説を立てるのは簡単です。


ではホントにここで、今回はおわり。






原 康子 ムラノミライ認定メタファシリテーション講師)





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2016年10月11日火曜日

フィールドワークって何をするの?


8月11日~17日、「都市と農村のつながりを考えるフィールドワーク入門ツアー」をネパールで開催しました。

このツアーは、以前にムラのミライとソムニード・ネパールが活動していたマクワンプール郡の村を訪問して、フィールドワークの方法を学んでもらうというもの。
現地ではガティコラ村、ゴパリ村、パルン村という隣接する3つの村を訪問し、村の人たちに話を聞かせてもらいました。
スタッフの前川(以下、「プロジェクト通信」でおなじみの“キョーコさん”と表記します)が講師をつとめ、ソムニード・ネパールのディベンドラが案内人兼通訳として、私もロジスタッフ(と少しの通訳)として同行しました。

村に訪問する前に、参加者のみなさんには、自分たちの知りたいことを、どうすれば知ることができるかを考えてもらいました。
時には夜遅くまでミーティングをしながら、何をどう質問するかを考えに考え抜き、村で実践した参加者たち。
ツアー中、そんな参加者と村の人たちとのやりとりを、キョーコさんは時には助け舟を出しつつ、基本的には手や口を出さずに見守っていました。

最初に訪れたガティコラ村では、カトマンズなどの大都市に出荷するカリフラワーを収穫したばかりという農家のオッチャン、グプタさんに話を聞くことができました。

その時のやり取りの一部です。

・収穫したカリフラワーはどうやって売るんですか?売買をするような場所があって、自分たちで持っていくんですか?それとも…
―仲買人が各農家を回って買っているんだよ。うちにも来てもらうんだ。
・買い取りの値段は誰が決めるんですか?
―仲買人だね。カトマンズの市場の価格を見て、買い取り価格を提示するんだ。
・じゃあ、グプタさんは価格交渉ができないってことでしょうか?
―いいや、仲買人は一人だけじゃないから、ワシも納得できる値段で買ってくれる人に売るんだよ。

このやりとりから、仲買人の存在を知ることができました。
ですが、代金は仲買人から現金で支払われるのか、はたまた銀行振り込みなのか?
その場でお金が手に入るのか?
…といった疑問は残ったままでした。

お次は、その翌日に、ゴパリ村で女性グループのメンバーに集まってもらって話を聞いたときのやりとりです。

・グループではどんな活動をしているんですか?
 ―研修を受けたりしていますよ。
 野菜の栽培方法だったり、家畜の育て方、DVから身を守る方法、
 あとポテトチップスの加工と販売とかね。
・へー、ポテトチップスの作り方の研修を受けたのはどなたですか?
 作ったポテトチップスは販売してるんですか?
 ―私の畑では、ジャガイモを育てて売っているんだけど、
 仲買人がすぐにお金をくれるわけじゃないし、少しでも現金収入がほしくてねぇ、
 ポテトチップスの加工を始めたのよ。
・いつからですか?
 ―去年くらいかねぇ。
・どこに売りに行ったんですか?
 ―この近くの市場。でも、パッケージにしろ、油にしろ、
  私たちのポテトチップスでは競争力がないとわかったからやめてしまったわ。
  今は、家で食べるか、近所の人におすそ分けするか…。


こんなふうに女性グループの活動から、ポテトチップスビジネス、農業へと話が進んでいきました。

こうして3つの村を訪問した後、キョーコさんから参加者にこんな質問が投げかけられました。

キョーコさん「グプタさんとの話で残った疑問、"農作物の売り上げがすぐに手に入るのか"という 点、その答えになるような話がゴパリ村で聞けましたね。覚えていますか?やりとりを思い出してみてください。」

みなさんは、どのやりとりだと思われますか?

そう、ゴパリ村のオバチャンは、
 「仲買人がすぐにお金をくれるわけじゃない」って言ってたんですよね。
ガティコラ村ではわからなかったことも、他の村で得た情報でその答えを知ることができたのです。
(この記事ではヒントになる部分を取り出していますが、実際には、この他にもいろいろな話題があったので、気を付けていないとサラッと流してしまいそうなやりとりでした。)

これを皮切りに、3つの村に行って聞いた話を整理し、関連づけていき、「都市と農村のつながり」を紐解いていったキョーコさん。

キョーコさん「フィールドワークって、その場その場で話を聞くことだけじゃないんです。みなさん、3つの村でたくさんの情報を集めましたよね。この情報を整理して、分析する。これがフィールドワークなんですよ。」

その時の参加者たちの表情から、「はぁ~なるほど」という感嘆の声が聞こえてきたような気がしました。まさに「腑に落ちた」と。
私も彼女たちと同じ表情をしていたかもしれません。

参加者が、自分たちで質問をして得た情報を思い出してもらいながら、その情報を分析していくことで「フィールドワークって何をするの?」というのを解説して見せたキョーコさん。

それは参加者の学び、発見になっただけではなく、そのやり方を端で見ていたディベンドラや私にとっても
「相手の経験を引き出し、分析するってこういうことなんですよ」
と教えてくれるものでもありました。同時にその難しさも。

ちょっと違う角度から「景色が変わる瞬間」を見ることのできたツアーでした。



 (ネパール事務所 田中十紀恵




→このブログ記事に登場する前川香子と共にがっつりフィールドワークをする研修@インド



2016年10月4日火曜日

協力隊受験者必見!「その質問、誰目線?」国際協力で大切なこと

こんにちは。「ムラのミライ」のインターン生、三谷です。
9月に入り、青年海外協力隊の秋募集もいよいよ始まりますね。
そんな青年海外協力隊の募集を考えている方必見のセミナーが
「ムラのミライ」関西事務所で開催されています!
今回は私の体験談を交えながら入門セミナーで
どの様なことするのかを紹介したいと思います。


先日8月29日(月)、「ムラのミライ」関西事務所にて
メタファシリテーション入門セミナーが開催されました。
当日は大雨でしたが、予定通り私を含め5名の方が参加してくださいました。

2時間の入門セミナーは
①    講師:宮下和佳 (認定NPO法人ムラのミライ専務理事)の事例
・インドのおばちゃん信用金庫
・ペット会
②    対話型ファシリテーションとは?
・「甘いものは好きですか?」
③    事実質問の練習
④    まとめ
・プットシル村の事例
の流れで進んでいきました。

「え?インドのおばちゃん?ペット会ってなに?」と、お思いの皆さま。
セミナーで講師が面白く楽しくお話ししてくれますので
この場で私の説明は控えさせていただきます。
気になって仕方がない皆さま、ぜひお話を聞きにセミナーにいらして下さい!

私が今回お伝えしたいものは③の事実質問の練習での出来事です。
練習では3人一組になり、質問される役、ファシリテーター役、オブザーバー役に分かれました。
私はファシリテーター役になり、男性に質問していきました。
私は男性のオシャレなメガネから事実質問していこうと狙いを定め、
「このメガネはいつ買ったのですか?」
「メガネをみにいった日、その日に購入しましたか?」
「他にも色違いがありましたか?」
と、質問を進めていきました。
終盤、私は男性に「何がこのメガネを選んだ決め手だったのですか?」と尋ねました。
男性「決め手…なんだっけ…。」
オブザーバー「終了!ところで“決め手”をきくのは事実質問?」
その時私ははっとしました。

決め手。決め手ってそもそも何でしょうか。

・決め手:物事の真偽や勝負事での勝ち負けを決定する手段・方法。また、そのよりどころ。「―を欠く」「物的証拠が―となる」(goo辞書)
と辞書にはあります。

でも良く考えてみると物事決定する際、よりどころがない場合だってありますよね。
例えば「何となく今日の気分で。」とか。
恋人にした決め手?そんなものはない!
気づいたら好きになってた!
なんていうのも良い例ですよね。
私は物事を決定する際“決め手”が必ず存在するという思い込みをしていました。
決め手は?と質問された人は何か答えなきゃ!
と事実ではないことを言ってしまう。
これでは相手から本当のことを聞き出せませんよね。
常に相手の立場にたって物事をみる難しさを改めて感じました。
入門セミナーでは一度の練習でしたが、
受講された方それぞれ自分自身に関する“気づき”が得られます。
もっと深く学びたい!
練習してみたい!
という方は一日のメタファシリテーション基礎講座もございます。


セミナーの最後はメタファシリテーションの練習方法を教えていただきました。
ずばり、やり取りを観察する!
モノについてきく!
道のりをききホントの動機を探る!です!
私も繰り返し練習に励みたいと思います。

ぜひ一度お気軽にお越しくださいませ。



(ムラのミライ インターン 三谷遥来



→関連記事 「サッカーボールが無い」って本当の問題?


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